朧咲夜2-貫くは禁忌の桜と月-【完】


また、一緒にいたい。


そう願っていた。
 

また、抱きしめて朝陽の中にいたい。


柔らかな咲桜のかおりみたいに―――


「……ん」
 

ぬくい。
 

なんだろう、あったかさがすぐ傍にある。


その正体が知りたくて、瞼を持ち上げた。


こんな大切なものがあるのか……。


「……さお?」


「……やっと起きましたか」
 

若干恨みがましい目で見てくるのは、咲桜だった。


何度も願ったから夢が現実まで浸食してきたか。


自分、相当重症だな。

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