演っとけ! 劇団演劇部
第5幕 仲間集め大作戦その1 ~これはデジャブというよりパクリだの巻き~
(ああ、どうしたらいいんだ…)
 せっかく劇団演劇部という団体を作って、生徒会に対抗しようにも3人のままでは話にならない。
団体と言えるかもわからない。
完全な手詰まりになった図書室で僕は一人頭を抱えていた。
 協力者が0人という散々足る結果にも落ち込んでいたが、何も動けないことに僕は焦っていた。
「誰かが次の作戦を思いつくまで待機」
と楽観的な相田先輩の言葉からもう3日が経とうとしている。
 その間の昼休みは遠藤さんと過ごす理由もないので、僕は図書室で前回に挫折した難しいほうの演劇関係の本を読み漁り、少しでも遠藤さんと相田先輩の話についていけるようにしようとしていた。しようとしたのだけど、根本の問題が気になってどうしても集中できない。
 ご飯食べた後は睡魔も襲ってくるし、静かな図書室はそれをバックアップするに申し分ない環境だった。
 ということでこの3日間で読破した本は一冊もなく、それがまた僕に焦りを与える結果になっていた。
 いつもは本を開いて5分も経つと、文字が睡眠を誘う呪文に見えてくるが、今日こそは絶対に読んでやる。
 くそう、なんでシェークスピアの戯曲は登場人物がこんなに多いんだ。全員カタカナだし覚えづらい。
 ヴォールティマンドって何の人だっけ。
やっぱりベタに『ロミオとジュリエット』から読み始めればよかった。だけどあれは有名すぎるし、中途半端に僕でも物語がわかっていて何となく勉強している実感がなさそうだからやめたのだ。
 悲劇とはいえ恋愛劇なのも気が引ける。
 僕としては最近の日本の戯曲から読みたかったけど、やはり基本も抑えていたほうがいいと思ってシェークスピアに手を出したのが間違いだった。
 ちくしょう、ギルデンスターンって誰だよ。
 全然物語が頭に入ってこないのはシェークスピアのせいではなく僕に原因があることはわかっている。
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