演っとけ! 劇団演劇部
 なんで自習時間に購買部の中にいるのかは、どうせ聞くだけ無駄だろう。
 僕たちよりも『相田先輩慣れ』をしていない他の3人はまだ呆然としている。(御手洗君だけはいつもと変わらない。さすがだ)
「さて、諸君!!」
 相田先輩が僕らの前でザッと腕を払い、いつものように仕切り始めた。
「話は全て聞かせてもらった。しかし、君たちがBBチームに勝つのは100%無理だろう。しかし、挑戦を受けたからには勝たなくては意味がない! しかし! このままでは絶対に勝てない!!」
 しかし、が多すぎです、先輩。
「そこで私が一つのいいアイデアを出そうじゃないか」
 またどうでもいいか、突拍子もないアイデアのどちらかなんだろうなぁ。
 ため息をついて横を見ると、ずっとフリーズしていた桜井さんがハッとし、綾奈ちゃんに向かって
「すごい、ナマ相田先輩だよ! キャー、緊張するぅ!」
と急に乙女になって興奮していた。
 ああ、この人はあの人の影響を受けていたんですね。
 どうりで違和感がないわけだ。
「で、そのアイデアというのは?」
 もったいぶっている先輩に御手洗君が話を進めようとすると
「おっ、君が御手洗君だな。エイトから話は聞いてるよ」
と、さっそく脱線してきた。
「どうも」
 相田先輩の意味のない握手に、御手洗君は笑顔で答える。
「あ、私も! 私も!」
 何故か桜井さんも握手を求め
「ほら、綾奈もしてもらいな」
と、怯える綾奈ちゃんにも無理やり勧めている。
「あっ、じゃあ俺も」
 小島まで何やってるんだ。
「で、何なんですか? アイデアって」
 一通り『相田握手会』が終わったところで僕は話を元に戻した。
「エイトも元サッカー部ならわかるだろう。チームが勝てない強豪とぶつかったときは、アレしかない!」
 アレ? アレって何ですか?
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