私の心霊体験談( 怖かったこと)
水の音
彼の家に泊まったときのこと。


電気を消し、二人で布団に入ると



…ピチャーン


水滴が落ちる音がした。

『あれ?蛇口の締めが緩かったかな?』

…ピチャーン


彼は起き上がると、台所の蛇口を締め直してきた。

『ちゃんと締まってた気がするけど…これで大丈夫』


…ピチャーン


『え?』
「もしかして、洗面所?今度は私が見てくるね」

私は洗面所に向かった。蛇口は…しっかり締まっているようだが。再度締め直した。

「ついでにお風呂の蛇口も締めてきたよー」
『ありがとう。これで大丈』

…ピチャーン

…ピチャーン


…ピチャーン



「え?全部締めたのに…!!」
『他に蛇口は…ないよ…』
「え?何で?なんで…」

…ピチャーン




…ピチャーン


…ピチャーン

…ピチャーン


水滴が落ちる音が、
枕元に近づいてくるように感じた。

雨は降っていない。
新しいマンションなので、雨漏りもしたことはない。

上の階の足音も聞こえないこの部屋で



…ピチャーン

…ピチャーン

…ピチャーン

…ピチャーン



私の身体はだんだん強張っていく。

「ねぇ。この音って…」

『シッ!…もう、寝よう。なにも考えずに寝よう…』



布団を頭まで被り、無理やり眠りについた。。

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