なぜか私、クラスのイケメンツートップに告られました!

告げられた内容に思い至って、私はピシッと固まった。
そして振り返り、谷村くんに言った。

「遠出!遠出のデートいいと思います!!」

気持ちが入って実に力強い返事に、谷村くんはくすくす笑っていた。
ちょっと、笑いすぎじゃないだろうか。
少し、口を尖らせれば谷村くんはそんな私の頬にキスを落とした。

驚いて、振り仰いだ顔はしてやったりって顔。

「いきなりはビックリするから止めて!」

「だって、咲ちゃん可愛いんだもん」

語尾が可愛くっても、ダメなものはダメ。
ジト目で見あげれば、仕方ないって顔をして一息つくと谷村くんは言った。

「ねぇ、咲ちゃん」

「なに?谷村くん」

ここでも澄ましながら、ひょいっと爆弾を投げてきた。

「俺は咲ちゃんって呼んでるでしょ?そろそろ下の名前でもいいんじゃない?」

そう言って、私の顔を覗き込んできた。
私は、視線を横に逃がしつつモゴモゴと返事をする。

「だって、まだ周りにバレたくないし。名前呼びとか恥ずかしいし、慣れないし、無理だって……」

きっと今の私の顔は真っ赤だろう。
そんな私の反応を見て、谷村くんは嬉しそうに笑う。

「咲ちゃん、ふたりの時ならいいでしょ?呼んでよ」

このイケメン子犬男子は甘え上手で駆け引き上手。
初心者の私が適う相手ではないと早々に白旗になった。
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