なぜか私、クラスのイケメンツートップに告られました!

「はい!俺二人三脚出ます!咲ちゃんと一緒に!」

実に楽しげに本人の確認も取らずに言い放つ谷村くんに、私は一気に冷めた声で告げた。

「なに勝手に決めてるわけ?私は全員参加競技しか出ないから!」

クラスにも自分の意思が伝わるように、はっきりと告げる。
春子は、楽しげにどうなるか見てるみたいだ。
顔がニヤついている……。
おい、親友。助けなさいよ!とは思うが土台無理な話。
春子はこの成り行きを楽しんで見物中で、助け舟など出すつもりは無いからだ。

趣味、人間観察と豪語するだけありこの場を楽しんでるようだ。

「えー!咲ちゃん一緒に何かしら出ようよ!全員参加だと開会閉会、綱引きに女子の棒引きしかでないつもりなの?」

谷村くんよ、それの何が悪いの?
大抵の子はそれで済ませるでしょうに……。

「ね、なにか一緒に出よう。二人三脚じゃなくても良いし、どう?」

どうも何もない。
だって私はそうするより他にないんだから。
運動系が苦手な私は、出ない方が自分にも周りにも優しいと知っているからだ。

だからこその私の言葉に、察する人もいたがそこは空気を読まない谷村くんである。

私は、そうした色々な諸事情をなんとかすべく奮闘中であった。
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