欲しいのは、たったひとり。
「..........あ、あの。東条さん?いいかな?」


「はっ、はい.......!ごめんなさい!」



声を掛けられ、振り向くとリーダーの女子が私を戸惑いながら見ていた。



そして、突然頭を下げて



「あっ、あの.........本当にごめんなさいっ!」



と、3人同時に私に向かって頭を下げた。




そんな中、絶賛私はフリーズ..........。



頭を上げると、リーダーの女子は寂しそうな目をして私に話し始めた。




「幼稚舎のころから桜野くんに憧れていて、話しかけたらいつも優しく答えてくれて。初等部のときは、3年連続同じクラスになって、すごく嬉しかったの」



俯きながら話す彼女は、本気で陽日くんのことが好きなんだと感じた。



寂しそうな目をしているけれど、口元が笑っていたから。



そのまま彼女は話し続けた。



「だけど、桜野くんは私を見ていなかったの。それは、高等部に入ってから。だから、桜野くんをずっと見ていたら、東条さんを屋上に連れ出して話しているのを見たの。だからっ、私はっ..........」




そこまで話して、彼女はとうとう手で顔を覆って涙を流した。
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