欲しいのは、たったひとり。
わぁ..........。



私、友達と話してるんだ........。




そんな自覚が湧いてきて、嬉しくなる。




「ほらっ!私たちのことも名前で呼んでみて?」



咲川さんに、そう促される。



そっか。下の名前で呼び合うのが友達。うん。




「えっと、じゃあ.........。ひびちゃん、ひーちゃん、せらちゃんでもいいかな?」




うっ、自分で言いつつ恥ずかしい........。



と、俯いてしまっているとぎゅっと誰かに抱きしめられていた。




「ありがとう!ありがとう!」



咲川さん、じゃなくってひびちゃんに耳元でそう言われた。




すると、またぎゅっと抱きしめられた。




よく見ると、ひびちゃん、ひーちゃん、せらちゃんに抱きしめられていた。




「あっ、あの.......?」



「私たちあんなに悪いことしたのに、許してくれて、ありがとう!」




と。また強く抱きしめられる。




ううっ、ちょっと痛いような.........。




でも、嬉しい。


いつの間にか、私はヘラヘラと口角が上がってしまっていた。

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