欲しいのは、たったひとり。
「だってさ、俺のせいで七乃がこんなことになったんだろ? だから、これからは俺が七乃を守るから」


そういったあと、付け足して「明日から一緒に帰ろ」と言ったのだ。


えっ? どういうことか、分かりませんが。


「ちょっと待って。 寮ってさ、男子棟と、女子棟で分かれてるんじゃなかったっけ・・・・・?」

「うーん、そうなんだけど、特別に用意してもらったんだよねー」


と、特別に!? 陽日くんは一体何者!?


寮の家賃なんて、恐ろしいほど高いのに!

私は、野桜さんに払ってもらってるんだけどね。


「って、そんなことより! 早く帰ろ!
こんな状態でずっといときたくないでしょ!」


野桜さんの回想に浸っていたら、急に陽日くんは私の手を引いて、走り始めた。
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