欲しいのは、たったひとり。






ガヤガヤとうるさい昇降口の中へと突入し、靴箱に自分のローファーを入れ、上靴を床に置いて履き替える。




周りには友達と登校している人が多いけど、私は地味なぼっち登校。

でも、こんなの今更って感じだし慣れている。うん。




そんなことを考えていて、私は前に人がいることに気づかなかった。



教室へ歩きだそうと思ったとき、私の前に影ができた。




「東城さーん、おはよ」



そう声をかけてきたのは、昨日の女子生徒3人。




私はそいつらを無視して、横を素通りする。




まぁ、当然腕を掴まれたわけで。




「ちょっと待てよ」




周りに生徒がいるのにも関わらず、私の腕を掴んで耳元で囁くリーダー格の女子。





何がしたいんだろうね?




「なんですか?私に何か用があったら早くしてください」



「はぁっ!?用があるからあんたに話しかけてんでしょっ! いいから早くついてきて」



私の腕を雑に離し、リーダーの取り巻き女子1人にまた腕を掴まれ、どこかへ連れていかれる。




リーダーは私の前を歩き、1人の取り巻きは私の腕を掴み、もう1人の取り巻きは後ろについてくる。



すごい構図だ。



私はまだそんなことを考えられる余裕がある。
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