欲しいのは、たったひとり。
条件反射で顔を上げてみると。


陽日くんが優しい顔で笑っていた。



「はははっ、七乃ってほんとに面白いよね。それで地獄の番人なの。ははっ」



笑うところなの..........かな?


陽日くんのツボがよく分からない。



それより、私って面白いのかな?




特に面白いことは言ってないと思うんだけどな........。




キョトンとした顔で、笑っている陽日くんを見ていたら、陽日くんと自然と目が合う。




「七乃、大好き」



「..............は」




え、ここにきて突然の告白をするのか陽日くんは。



未だに陽日くんに“好き”と呼ばれることに慣れない私にとって、突然の告白は心臓に悪い。



ドクドクいってるよ。心臓が。




でも、こんな告白ひとつで心臓が壊れそうになる私とは違って、陽日くんは慣れているんだろうな。





なんて、また私はグルグルと考えてしまう。




すると、陽日くんは私の手を取って立ち上がらせた。



「わっ」


「あ、急でごめん。大丈夫?」


「う、うん」




陽日くんに優しく聞かれて、戸惑いながら答えた。


< 97 / 110 >

この作品をシェア

pagetop