君の吐息に合わせて目を閉じた

 頭上の鳥が間の抜けた声を出して鳴いた。

 カラスだった。

 散髪を面倒くさがった結果、伸びすぎた前髪を風が揺らした。

 目の前の女の子は、当たり前の様に僕を殺すと言った。

 笑顔だった。

 「…えーと?」

 聞き返せば笑顔で頷く。

 「はい。殺します」

 「…僕何か誰かに恨まれてるの?」

 「そんなそんな」

 聞けば、女の子は伏し目がちに僕を覗き込んできた。

 何か間違っていることがあるだろうかと僕に確認するような目で。

 「…もし」

 言いかけた時始業を告げるベルが鳴った。

 やけに間延びした、聞きなれた音のはずなのに。 
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