俺様外科医の極甘プロポーズ

「そうですか! ありがとうございます」

ようやく受け入れ先が見つかった。救急車を呼び、一緒に乗り込むとT大へ向かう。救急車の中で、一度心臓が止まりそうになる。患者は一刻を争う状態だ。

クリスマスの日に、甲子の両親へ悲しい知らせを届けることはできない。

「必ず助けるから、君もがんばれ!」

 俺は患者にそう声をかけ続ける。

 T大に着くと、懐かしい顔が迎えてくれた。

「万由里」

「壱也。オペの準備はできてるわ」

 俺らの受け入れ要請を知った彼女は第二外科の教授に掛け合ってくれ、到着後すぐに手術が始められるように準備を進めてくれていた。

「ありがとう、万由里。助かったよ」

「この貸しは高くつくわよ?」

 万由里はそう言って笑った。

オペには俺も一緒に立ち会わせてもらった。

手術は無事に終えることができ、患者は一命をとりとめた。ICUに収容されたが明日には一般病棟へ移れるだろう。

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