俺様外科医の極甘プロポーズ

 心配した両親は、このまま看護師を辞めて帰ってきなさいと言ってくれたけれど、それだけはどうしてもできなかった。

そこで私は、個人病院に転職することにした。

柏瀬病院は百年の歴史がある病院で院長の柏瀬先生と副院長で息子の晴也先生は内科のお医者様。とても穏やかで優しい親子で、患者さんからも職員からも慕われている。院内がどこかのんびりとした雰囲気なのはお二人の人柄があってのことだと思う。

私はというと、以前の経験を買われて外科病棟に配属された。とはいえ、病棟の半数以上は内科の患者さんが占めている。

外科は縮小傾向で手術件数も少なく、医者も常勤と非常勤の二人しかいない。全身麻酔が必要な手術はできないため、転院を余儀なくされる患者さんも多い。そのたびに私はジレンマと戦っていた。

私が柏瀬病院で働きだして一年が過ぎた四月のある日の朝、全職員が会議室に呼び出された。

こんなことは年に数回あるかないかの出来事らしく、私の心は心がざわついた。なにか嫌な知らせではないといいけれど。

そんな私をよそに、二年目の後輩看護師田口さんは「臨時ボーナスですかね」なんて能天気なことを言っている。

< 2 / 185 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop