高校生夫婦はじめました。
――――耳に届いた瞬間に、他の音が遮断されてしまうような告白。

校舎に響く談笑や、生徒の足音。お昼の放送。昼練をしている運動部の掛け声。そういうものが私の中からふっと音を消してしまうくらい衝撃的で、力のある言葉。

“欲しい”ほど、今の私に必要な言葉は、なかったかもしれない。



私が黙っていると、正臣は更に困った顔になった。

「……って言ったら、これもヤりたいだけみたいになっちゃうか。えっと……」

自分の頬を掻きながら珍しく少し焦って、私に何か伝えようと、一生懸命に言葉を選んでいる。
そんな正臣の姿に、胸の奥がきゅぅっと絞られた。正臣はやっぱり他の男の子とは違う。

私にとっては、全然違う。

「わっ……わかってるよ!」

勇気を出して口を開くと、ちょっと大きな声が出た。

「え」

正臣も驚いている。

「ちゃんとわかってる。たぶん……同じ気持ちなのかなって」

私も必死で言葉を探す。なんて言えばいいんだろう。

正臣が「性欲はあるけど、それだけじゃない」と言ったのと同じようなことを、私も思っている。クラスの女の子の一部がもう経験したらしいキスやそれ以上の行為に、興味がないと言えば嘘だ。でも興味があるだけなら、相手は正臣じゃなくてもいいはずだ。


――――正臣じゃないとだめ。


私も早く正臣のことが欲しい。

“欲しい”って、つまりどういうこと?

「私も……そのっ……」

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