最弱救世主とドS騎士

始まるのか……魔法の剣を強く握りしめ、私は回りを見渡した。

国民は全てドームの中に入ったようで、ペガサスにまたがる騎士団達がそれぞれの配置に着く。

シルフィンの表情が変わった。
可愛い魔法使いの女の子から闇の顔になった。

さっきまでの青空が一瞬で消え
遠くから雷鳴が聞こえて私の身体が震えてきた。

どこから来て
どうやって攻撃して
どんな力があるのだろう

話だけしか聞いてないから
余計怖いのかもしれない。

足元が本気でガタガタ震えて来た時、リアムが近寄り私の肩をギュッと抱く。

ただそれだけで
心が少し落ち着く。

「これが終わったら結婚式だ」

「えっ?」

「俺とリナの結婚式だ。また後から正式にプロポーズする」

命を賭けた闘い前なのに、リアムの顔は穏やかだった。

「今……してよ」

「今?」

「半分だけでもして」

「半分?リナは面白い」
リアムは笑って私の耳元で甘く囁いた。

「リナ。愛してる。このままずっと俺の傍にいて妻になってほしい」

「はい」

ずっとずっと
リアムの傍におります。
そしてあなただけをずっと愛します。

「残り半分は後からにしよう」

リアムは私に言い残し、アレックスの隣に並んだ。
< 154 / 236 >

この作品をシェア

pagetop