最弱救世主とドS騎士

すると
コツンと額にアレックスのデコピンが当たった。

「リナが綺麗で恥ずかしかったんだよ」

「え?」

「昨日の下着姿も色気があったけど、今日のそのドレスも可愛らしい。とても綺麗だ」

下着姿じゃなくて事務服なんですよ。
それより
もしそれが本当なら、完璧に小学生思考ですけど騎士団長様。

難しい顔をしていると
アレックスの手が私の腰に回り身体を引き寄せられた。

「正装はさぞかし美しいだろう。舞踏会の相手をしてくれるかい?」

エメラルドの瞳が目の前に迫り、色気のある唇がまた私の唇に……重なってたまるか!昨日もキスされたんだからね。

「その手にはのりません」
はっきり言ってアレックスの胸から飛び出し部屋を出た。

あぶないあぶない
本当にタラシだな。油断ならない。

行くあてもなく広い廊下を抜け、自分で掃除しているモップとぶつかりそうになりながら階段を降りる。

掃除も魔法で勝手に道具が動くんだ。
モップが動いて廊下を磨き
天井で雑巾がシャンデリアを磨いていた。

掃除もできない。

無能です私。

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