相合傘
一大決心

昔から、親父趣味だよね。恭ちゃん。

親友のさおりからは、よく呆れられた。

中学校の時は、今思えばなんで?と
思うような、ひょろっとした国語の先生が
大好きだった。

ニコリともしない授業での先生だけど、
どこかのナマリが、可愛らしいと
思っていた。

そして、愛妻家で。
一度みんなで家に遊びに行った時に、
驚いたのを覚えてる。

華奢で少女みたいな奥さん。
白い壁の、可愛らしい家。
子供部屋の壁は、青空の壁紙だった。

隠してたロマンティストな部分に、
子供ながらにキュンとしたのを覚えてる。


今、あたしが好きな人は…
あの時の先生を思い出させる。

静かで、大人しくて、無口で。

でも。ここポイント。

時々笑うの。そりゃ、笑うでしょって?

違うの!

あたしと目が合ってるのに…笑うの。

とびきり優しい顔で笑うのよ?

好きにならずにいられないような…

トロける笑顔で。

仁くん…。

たいして…
話したことがあるわけでもないのに。

あの笑顔と。

友達と笑ってる姿、時々合う視線。
そんなものだけで…。

いつのまにか、好きで好きで…
伝えたくてしょうがないくらいに…
なっていた。


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