君と運命の恋をもう一度
「ねえ、かーのじょ」
振り返った傘越しに見えた、少し怯えた君の瞳が何故か俺の心をとらえた。

しまった。いつもの女と違う。

「ねえ、一緒に飲まない?」
顔だけはよかった俺は、これですぐに女を落とすことができた。
所詮顔だけの人間。
自分でもそんな事は解っていた。だからそれに吸い寄せられる女が悪い。
そんな風に女を思っていたし、女なんかになにも望んでいなかった。

外では良妻賢母、夫婦円満をアピールする両親《あいつら》が、家の中ではお互い愛人を作り、一言も口を利かない。

金と権力しか興味の無い人間の集まり。

そんなのはどこの家でも同じだと思っていた。

すでに、この子はいつもの女のタイプと違う事がわかったが、俺は仲間の手前引けなかった。
< 4 / 13 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop