うそつき
Chapter 1

僕の家にひとりの女の子が来た。


城ヶ崎果乃。



まだ姿は見てないけれど、母さんによると可愛いらしい。




僕が彼女にあっていない理由はただ一つ。




この家に来てからまだ一度も部屋から出て来ていないから。



過去に不審者に誘拐され、それから外に出られなくなってしまったらしい。



その上、彼女の両親も事故で亡くなり、おばあさんに引き取られることになった。



でも、おばあさんはアメリカにいて、引きこもりの彼女が飛行機に乗れるはずもなく、身寄りもない彼女はおばあさんの旧友である僕の祖母に助けを求めた。



そして、両家の話し合いにより、今の状況に至る。



でも、おばあさんの意向としては一刻も早くアメリカに連れて行きたいらしく、僕に彼女を部屋から出させることを依頼して来た。



会ったこともない僕が何をできるのかわからないけど…。


精一杯の努力をすることは約束した。



そして今、高校からの帰り道、母からメールが届いた。



『かのちゃん、みかんのゼリーが好きなんだって。

買ってきて欲しいな〜』



買ってこいという圧力ですね、わかります。


買って帰りますよ、女王様。



僕はコンビニに寄って帰ることにした。
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