うそつき
Chapter 13
3月。


とうとう入試です。


うちの学校はなかなか頭がいいとこで、果乃もだいぶ不安みたいです。


バレンタインのすぐ後辺りから毎日どうしようと言っては泣きそうになり、


食欲が減って母さんに心配され、


その度に僕が甘いお菓子を作って渡すと糖尿病になるんじゃないかというぐらい食べ続けていた。



入試当日。



学校自体はお休みだけど、僕は突然仕事が入ってしまった母さんの代わりに学校まで果乃と一緒に行くことになった。



「受かるかな…?」


「大丈夫だよ、僕が受かったんだから絶対受かる」


「唯兎くん頭いいじゃん…」



果乃は4年前にきていた中学の制服に身を包み、パンダの筆箱を握りしめて、プルプル震えている。



「大丈夫だよ。果乃なら絶対できるから」


「…うん」



学校に着いた。


僕は周りの保護者と一緒に講堂に連れて行かれることになる。


ここで果乃とはお別れ。




「唯兎くん…」


「頑張っておいで?


果乃は頑張ったんだから絶対できるよ。


終わったら一緒にラーメン食べに行こ?」



「うん。ラーメン食べる」



果乃は決意を固めたようにパンダを握りしめると、僕に背を向けて、受験者が集まる体育館へと歩いて行った。
< 109 / 118 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop