俺の彼女が一番可愛い!
「学祭に呼べねーの?」
「…呼べるわけないじゃん。」
「なんで?」
「年上、だから。」

(年上の彼女さんなんだ!同じだ!)

 どのくらいの年の差なのかとか、どんなことをしている人なのかとか少しずつ興味が湧いてきた。とりあえず、盗み聞きであることは置いておく。

「年上ぇ!?え、熟女?熟女趣味?」
「年上イコール熟女って頭おかしいだろ、お前。」
「じゃあ何歳の人なんだよ!」
「今日その話しに来たんじゃないじゃん。ていうか話さないし。」

「オーナー、できました。」
「はいよ。」

 フライドチキンにポテトフライ、揚げ物のコンボの山を持っていくオーナー。優しい笑顔は接客の基本だが、今日はそれにいらないオマケをつけてサービスすることにしたらしい。

「厨房にいるあの子もねぇ、年上彼女がいるんだよ。」
「!?」

 オーナーが突然ばらしたことによって、いきなり健人は注目を浴びることになる。一応へこっと頭でも下げておこうかと思って目線を上げると、一番最初に盗み聞きの相手と目が合った。

(…気まずい…。盗み聞きしてしまってすみません…!)

 健人は心の中で盛大に謝っておくことにした。オーナーがいらないことを言わなければ万事解決だったが、言ってしまったものは仕方がない。
 それから健人は、必死にオーダーのパスタを作り、提供することに集中した。
< 2 / 41 >

この作品をシェア

pagetop