イケメン悪魔とツンデレ美女、ひとつ屋根の下で


「もうだいたい制覇したかな?」


「そうだな」


時刻はあっという間に18時すぎになった。


アトラクション乗りまくった!!


楽しかったあ~っ!!


すっごく充実した一日だったなあ。


「そろそろ帰ろっか!」


「あぁ」


「ちょっとJRの時間見てみるね」


わたしはそう言ってケータイ電話で時刻表を検索しはじめた。


「えっとね、18時15分発がある!その次は一時間後」


遊園地から駅までは、歩いて10分ほど。


今はもう18時6分で、15分の便には間に合わないだろう。


遊園地から出て、夜ご飯としてどこかのお店に入ったらいいし、一時間後の便でもいいかなあ。


わたしはそう思っていたけれど。


「...靴、ヒールじゃねぇし、走れるよな」


暁はそう言って、離れていた手のひらをまたぎゅっと握りしめて。


「えっ」と言葉を漏らすわたしなんてよそに、早々に駆け出した。


ビュンビュンと風のように走り抜ける暁。


これが暁が受けている風なんだ。


悔しいけれど、暁のそんな後ろ姿はめちゃくちゃかっこよかった。

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