* Reality * ~鏡の顔~
専務と豪華なランチを食べた後、社に戻り秘書課の仕事の簡単な引き継ぎを受け、とりあえず2、3日の仕事の流れを理解する。


もともとの秘書の北山さんの 顔の晴れが引くまでの代わりのピンチヒッターの私にタイムリミットのカウントダウンが始まる。

何としても この会社の専務の不正の証拠を見つけて 上層部に密告しなければ…


「胡桃、今日から俺のマンションで住まない?」


空気の全く読めないこの男、実はこれは計算で
私を完璧に騙してるんじゃないの?と返って勘ぐるくらい、バカ過ぎる。


何食わぬ顔を装い、


「私には素晴らしく素敵過ぎて勿体ない提案なんですが、女には身一つでは簡単には行けない事情があるんですよ。」


「へぇ俺に出来ない事はない。多分君が必要とする物は 全部用意出来るつもりだけれど、それでも?」


はぁ?何金持ち自慢?
ムカつき過ぎて にっこり笑って答える。


「大也だけが男じゃない。私にも予定があるから、野暮な事話させないでよ。わかった?」


そんな簡単な女しなじゃないアピールをして、本当は帰るだけで何もない今日の予定を封印。


みんながみんなあなたの思い通りにならないんだから…。


目を見開きびっくりしている専務を無視して、秘書の仕事をモクモクと進行する私は、何をやらせても完璧にしか出来ない人のはずであった。




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