朧咲夜3-甦るは深き記憶の傷-【完】
5 タチが悪いタイプの天才だ。

side咲桜



「咲桜―、これに名前書いてー」
 

ぴらっと顔の前に紙が突き出された。


「頼? なにこれ」


「いいから。名前書くだけで。あと笑満も」
 

放課後になって帰り支度をしていると、いつの間にか教室からいなくなっていた頼が帰ってきた。
 

二人して首を傾げたけど、言われたとおりに署名した。笑満も続ける。


「よし。んじゃ行くか」


「「どこに?」」


「旧校舎。顧問の承諾もらって、生徒会に提出すれば終わりだったかなー」
 

雑な返事をしながら、頼は自分の鞄を手にして教室を出て行こうとする。


「え、なに、顧問って」

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