朧咲夜3-甦るは深き記憶の傷-【完】


――ずっと出来なかったことだ。


自分で自分の命をゆるせなかった。認められなかった。


排除されて然るべきとすら思っていた。


……そう思うことで、辛い生まれの自分を、どうにか保っていた。


引け目があることを認めて生きていなければ、すれ違う人にだって申し訳なかった。


ごめんなさい、私なんかがいて。でも、頑張るから、お願いだから、私をゆるしてください。


……そんな、底なし沼の思いに足を沈めたまま生きていた。


「そんなこと言われたって……どうしたらいいのか……」
 

わからないよ。
 

だってずっと、自分は謝りながら、ゆるしを乞いながら生きていく命だと思っていた。


「……咲桜。お前は愛されているよ」
 

ぎゅっと、手を握る力が強くなった。


「俺だけじゃなくて、在義さんだけじゃなくて、松生や日義や、お隣の怖い人とか、お前の命をありがたく思う人はたくさんいる。……お前の命を、大事にしたいって思ってる筆頭は俺だけど、そう思ってるのは俺だけじゃない。……もう、結構わかってんだろ? 認めたくない?」
 

すいっと、流夜くんの指が頬の涙を掬う。

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