朧咲夜3-甦るは深き記憶の傷-【完】

side咲桜



「へー。……ばらしたらどうなっかなー」
 


 

宮寺先生がそんなことを言った。


思わず身を乗り出しそうになったけど、笑満に腕を引かれて留まった。
 

ばらすとは、流夜くんの素顔――犯罪学者として活動していることだろう。


それはまずい。


流夜くんが警察に関わっていることまでいもづる式にばれてしまうかもしれない。
 

……けど、宮寺先生ってどういう知り合いなんだろう。
 

その名前を流夜くんから聞いたことはない。


知っているのは、藤城の卒業生だということ。流夜くんは桜庭学院卒業だ。


「勝手にやれよ」
 

流夜くんは硬い声で言い捨てると、「ただし学内で俺に関わるな」と残して出て行った。

< 35 / 308 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop