Black Romeo and Juliet
「手術費用? どういうこと?」


わたしの質問に、医者であろうこの男は怪訝そうにわたしを見た。


「アンタ、ロイの女じゃないのか?」


「……わからない」


命を救われて……、


一度抱かれただけ……。


わたしたちが過ごした時間なんて一日にも満たない。



「アイツの体は難病に侵されてる。その為の手術費用をアンタの指に使ってった」


頭が真っ白くなって……何も考えられなくなる。




どうして……。



どうしてそんなことしたの……。



「ロ……イ……」



指を失ったときの倍以上の涙は流した気がする……。




医者の許可が下りて、



わたしはロイの家を目指した。



< 10 / 11 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop