処刑バッヂ
「あぁ……」


涼希もジッと画面を見つめている。


既読マークがついても、返事は来ない。


わかっていたことだけれど、心のどこかで落胆している自分がいた。


「こっちが接触したがってることがわかれば、犯人もなにか行動を起こすかもしれない」


涼希はスマホをポケットへ戻してそう言った。


「犯人がこっちに会いに来たらどうするの?」


「そんなの決まってるだろ。捕まえてやる」


涼希の声には強い怒りが含まれている。


こんな状況じゃ犯人を捕まえると言ってもおかしくはない。


でも……それはきっと、とても危険な行為になる。


相手が人間である可能性だって低いのだから。


あたしは涼希の手を握りしめた。


「お願い、無茶なことだけはしないでね」


そう言った声が、空中へと溶けて消えて行ったのだった。
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