処刑バッヂ
「その真奈ちゃんって子は、今どこに?」


そう聞くと、麻央はうつむいて左右に首を振った。


「真奈はね突然父親の転勤が決まってパーティーには参加できなかったの」


だから、あたしの記憶の中に真奈ちゃんの存在が残っていなかったのだ。


もしパーティーに参加して同じ時間を過ごしていれば、きっと忘れてはいなかっただろう。


「そうなんだ。もしかして、それが心残りなのかな?」


「……そうかもしれない。でも、ここが真奈の作りだした世界だとしたら……あたしたちはきっと逃げられない」


「どういう意味?」


「真奈は引っ越した後、事故に遭って死んだから」


麻央の言葉が頭の中に何重にもなって響き渡ったのだった。
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