処刑バッヂ
その時だった。


大きな音を立てて屋上へと続くドアが開いたのだ。


男3人で蹴ったり殴ったりしたドアは大きく歪み、外側へと開いている。


「開いた!」


涼希がそう言い、屋上へと出た。


あたしたちもそれに続く。


新鮮な空気を胸いっぱいに吸い込むと、ようやく呼吸が落ち着いて来た。


ヒヤリとした空気が体育館内での出来事を包み込んでいく。


「誰か! 助けてくれ!」


フェンス越しに晴康が叫ぶ。


屋上の下にはグラウンドが広がっているけれど、その向こうには民家が立ち並んでいる。


みんなで叫べば、きっと聞こえるはずだった。


「助けて!」


「誰か助けて!」
< 55 / 229 >

この作品をシェア

pagetop