処刑バッヂ
その目は真っ黒に染まり、口には食べカズがベッタリと貼りついている。


「麻……央……?」


それは間違いなく麻央なのに、麻央じゃなかった。


真っ黒な瞳は何も見えていないように見える。


涼希も包丁をかまえたまま茫然と立ち尽くしてしまっている。


その瞬間だった。


バッヂのアラームが再び鳴りはじめたのだ。


フェルトでくるんであるため音は小さいが、至近距離の麻央には届く。


その途端麻央は持っていた食材を手から離し、ユラリと立ち上がったのだ。


「麻央、どうしたの!?」


明らかに普通じゃない麻央の様子に駆け寄ろうとするが、それを涼希が遮った。
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