ヴァーチャル・リアリティ
昔から一緒にいて、いつしか惹かれていて、だけど好きだなんて言えなくて……。


そんな陽大が、あたしの目の前にいた。


「それでもあたしは、陽大を信じる!」


カッと目を開き、テーブルの上にある4人の写真へと手を伸ばした。


時間はあと2分。

迷っている暇があるなら、自分の写真を握りしめてやればいいんだ。


もう少しで手が届く。


これでいい。


これでいいから……!


「あたしが裏切者だから!!」


自分の写真に手が触れそうになった瞬間、梨花子の声が聞こえて来た。
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