【完】キミスター♡
先生は、額に汗を滲ませて私に懇願してきた。
こうすれば、私が引き受けるしかなくなることを知っていてやってるに違いない。

私はううーん、と唸り声を上げた後で承諾する。


「ほんとにほんとにほんとーに、今回だけだかんね!緋翠と私の貴重な時間切り裂くんだから、その代償は高いよ?!」

「わ、悪い!本当に!この借りはちゃんと返すから!」


と、言いつつ先生は殆ど後退り気味だ。
私はそんな先生にふんっと鼻を鳴らし、

「で?その子どこ?」

と聞いた。
すると、先生は職員室で何か書類を貰っていたのか、よく分からないけど、そこからその人物を呼んだ。 


「えー…っと、楢崎(ならさき)!こっち来い」

「…うっす」

「げ。男かよ」


思わず出た本音。
私は緋翠以外の男の人は苦手。
だから、初対面でもそんなのお構いなしだった。
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