【完】キミスター♡
そのままの格好で、ぐんぐん先に進もうとする私に向かって、緋翠は至って冷静に質問を投げて来る。


「海夏、みーかって。あいつ誰?」

「昔滅茶苦茶いじめてきた最低男!」

「……」

緋翠は私の答えに、少し間を空けて考え込む。
そして、ぐいっと少しだけ力を入れて、私の足を止めた。

「なに?」

「海夏は、どんな海夏でも可愛いから。ね?」

「う、うん?」

「じゃあ…今日は俺の奢りで美味しいケーキ食べに行こうか」

「うん!」


私はその時気付かなかった。
緋翠の瞳が切なそうに揺れていたことに…。


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