【完】キミスター♡
「なーんか、最近の緋翠がおかしい…」

そう、独りごちる。
それに対して、親友の茉莉花(まりか)は呆れたように言葉を挟んだ。

「ねー?それ今日もう5回目。昨日とトータルしたら20回超すよー?海夏…そんなに気になるなら緋翠先輩に直接聞けばいいでしょー?」

「それが出来てたら、悩んでないもん!」

「あーあー…キレないキレない。もー…どーこがポジティブ思考の佐々木さんなんだか。緋翠先輩よりももーっとネガティブなんじゃなーい?」


茉莉花は、シャーペンをくるくると器用に回して、私に向かって1つ溜息を吐いた。

「それでも好きなものは好き、なんでしょ?」

「うん!それは変わらないよ!だって当然のことだもん」

私は、そのシャーペンを奪い取って、拳を握った。

「私は緋翠だけ。緋翠しか見えてない!」

「ちょっと〜!私のシャーペン!」

「あ、ごめんごめん」

私はてへへと笑って、シャーペンを茉莉花に返した。


今日の帰り道…。
いつもはそんなに、しつこく聞けないけれど、ちょっと食い下がって理由を聞いてみよう。

そう、思った。

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