終点は異世界でした。
揺れにご注意ください。




市場から離れるように歩いていくと、背を伸ばす建物達と行き交う路面電車は、少しだけ私の世界に似ていた。


それでも動いている仕組みは、魔力なのだから不思議だ。


バス停みたいなそんな場所にアルスと二人並んで、路面電車を待った。



「アルスは普段、駅で働いてるの?」



今まで踏み込んだ質問をしてなかったから、なんとなくアルスのことを聞きたくなった。



「うん。父さんも昔同じように働いてて、その背中を追って、って感じでね」


「家族は今どこにいるの?」


「亡くなった」



思いもよらない答えに、私の頭は回らなかった。






< 37 / 94 >

この作品をシェア

pagetop