極上な王子は新妻を一途な愛で独占する
「え……誰?」

ベッドから起き上がり、窓の外を見る。
太陽は遠くの山の少し上に輝いていた。

「まだ昼食の時間じゃないよね。お昼だったら窓から太陽が見えないもの」

とりあえず部屋の中央のソファーに移動しておく。
シェールが腰をおろすのと同時に、もう一度ノックがされ、続いて家令の声が聞こえて来た。

「ラドミーラ妃殿下。報告が御座いますので入室の許可を頂けないでしょうか」

「……報告?」

シェールは思わず首を傾げる。

アルフレート不在の連絡は昨日されたばかり。
それ以外で家令がシェールに報告をして来た事など、結婚して以来一度もない。

普段と違う状況だからか、少しだけ不安になる。

気が乗らないながらも、深呼吸して王弟妃として振る舞う為に、顔から表情を消す。

小さく咳払いをすると、扉越しに返事をした。

「入りなさい」

ソファーにゆったりと座り待ち構えるシェールの下に、静々と家令がやって来て挨拶もそこそこに報告をした。

「ユジェナ侯爵家より使者が参りました。明日、マグダレーナ様が訪問するとの事です」


(さ、最悪!)



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