極上な王子は新妻を一途な愛で独占する
力強い腕に優しく抱きしめられ、逞しい胸に頰を寄せて、シェールは混乱の最中にあった。

「カ、カレル……」

身体に力は入らないし、情けない程弱々しい声しか出てこない。

カレルはそんなシェールの髪に顔を埋めていたけれど、しばらくすると切な気な声で言った。

「シェールが好きだよ。サンレームの村で会って直ぐに惹かれたんだ」

耳元で囁かれ、シェールはびくりと震え、頰を染める。返事をしたいと思うのに、頭が上手く働かない。

カレルはシェールの身体をそっと離した。
寂しさを感じる間も無く、愛の言葉を告げられる。

「シェールを愛している」

再び抱き寄せられ、唇を塞がれた。

突然の事に頭の中は真っ白で、何も出来ずにいたけれど、もし動けてもきっと抵抗はしなかった。

このままずっと抱きしめて欲しいと願ったから。

(カレルが好き……大好き)




長く優しいキスが終わり、シェールはカレルの腕の中で力無く泣いていた。

「カレルと離れたくない……このまま側にいたい」

カレルはシェールの背中を宥めるように撫でながら、言う。


「シェール、俺はお前との事、本当に運命だって思っているんだ」

「……どうしてそう思うの?」

「今までシェールに会いたいと思うと必ず会えたんだぜ。今日だって本当に久しぶりに村に来たのに、お前に会えた」

「そんな事が運命なの?」

「だって、こんな偶然は運命以外ないだろ? 俺たちは離れても巡り会えるようになっているんだよ」

「本当に?」

「ああ」

「……もし私が遠くに行ってもまた会える?」

「ああ。絶対に会える、どこに居ても俺はお前を探し出すよ。だからもう泣くな。大丈夫だから」

カレルの自信に溢れて声を聞いていると、だんだんと希望が湧いて来るようだった。

元々、悲観的な性格でもない。
これまでだって、不安な事は沢山有ったけど、なんとかなって来たのだ。

「カレル、約束ね。次に会った時、秘密は無くなるって」

「ああ、必ず」

カレルの笑顔を見ていたら、きっと何もかも上手く行くと思えた。

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