極上な王子は新妻を一途な愛で独占する
えっ? と思う暇もなく、背後から抱きしめられる。同時に、耳元で囁かれた。

「相変わらず独り言ばっかりだな」

その声にびくりと体を震わせ、シェールは震える声を出した。

「カレル、なの?」

「ああ。やっと追いついた」

「な、なんで?」

「絶対、再会するって言っただろ? 約束覚えてないのか?」

ちょっと意地悪な口調。だけどシェールを抱きしめる腕はとても優しい。

「……忘れるわけない……次に会った時は秘密は無しだって……」

「ああ」

穏やかなカレルの相槌と共に、クルリと体を回転させられ、あっという間に二人向き合う形になる。

目の前に会いたくて堪らなかった人が、少しも変わらない姿でいる。


「カレル……」

「シェール……」

カレルが優しい眼差しでシェールを見つめる。

「俺たちはもう自由なんだ。心のまま好きな事を言っていいんだ」

「……心のままに?」

カレルに一番伝えたい気持ち。何も隠す事ない本当の気持ち。

「……カレルに会いたかった。絶対に会おうって思ってた……」

サンレームで出会い、過ごした日々。
辛い時もカレルの事を思うと元気になれた。

「カレルが好き、大好き。私を探してここまで来てくれて本当に嬉しい」

「シェール……間に合って良かった」

カレルはシェールを強く抱き締める。
決して離さないというように。
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