姉さんの先輩は狼男 孝の苦労事件簿③

遠い思い出



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小学校に入学して、すぐの頃だっただろうか。

授業で家族の絵というのを描いた時、俺の絵を見た担任は怪訝そうに首を傾げた。

「ねえ、銀司君。この左の人は、お母さん?」

「うん」
 
絵は、白い画用紙にクレヨンで描いた。

一番左にいるのが、三角から足が突き出している、

ロボットみたいにガタガタのバランスの人間――スカートを穿いている母親。


「真ん中にいるのが、銀司君?」

「うん」
 
自分はその中で一番背が低い、やっぱりガタガタラインの人間。

好きだから、近くにサッカーボールも描いた。

丸が上手く描けなくて、歪なおにぎりが転がっているように見える。


「じゃあ、右の人はお父さん?」

「うん」
 

ここまでくれば当り前ではないか。

そう思ったのに、担任は尋ねて来た。


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