姉さんの先輩は狼男 孝の苦労事件簿③
病室の誕生日

 






危ないことや怖いことのほとんどが終わった頃――

つまり、今回の一件が『解決』した頃に、俺は病室で目を覚ました。



「…………」



(何か……前にもこんなことあったな……)
 
前とは、もちろんセレナのことである。
 

俺はあの時、余計な事を口走ったがために、全力の吸血鬼に八つ当たりされたのだった。
 

しかし、前とは明らかに違う事が一つあった。


(……何で俺、ベッドに縛られてるんだろ……?)
 

仰向けに寝かされていたのだが、俺はふかふかの白いベッドに、布団ごと固定されていたのだった。
 

……逃げないように、そうされているのだろうか。
 

何とか首だけ動かしてみようと思ってもがいていたのだが、


首は首で、包帯やらテープやらがごっそり巻かれているようで、全く自由が無い。


< 293 / 317 >

この作品をシェア

pagetop