姉さんの先輩は狼男 孝の苦労事件簿③
「あっ……それ、
いつもスタジオで注意されてるんです……じゃなくて!
あのっ……助けて下って、ありがとうございます……!」
「いいのよ、このくらい。
それにあいつは、それだけの事をしたんだから……」
男の顔は赤黒く腫れ上がり、
折れてギザギザになった前歯が、
力無く開かれた口から覗いていた。
「ああ、ええと……お礼がしたいんですけど、
私……その、お金をあまり持っていなくて……」