姉さんの先輩は狼男 孝の苦労事件簿③
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その欲望が芽生えたのは、
彼にとってごく自然の事だった。
それがとてもおぞましい事だというのは、後から知った。
それに類似したことを話す、
世間一般の彼等の反応からはいつも、
嫌悪や恐怖が見て取れた。
(……みんな、知らないんだ)
それはとても、彼には心地良い事だった。
考えただけでいつも、幸せになれた。
だけど、それは昔ほど簡単にはいかないものなのだと、
一人になってから痛切に実感した。