白衣の王子様の恋愛感 【番外編12月7日up】

「それでって訳じゃなんだけど、姉さんに頼みがあって。悠理の事なんだが・・・。」


ゆう君のこと?
急に耳慣れた名前が出て来て、私の意識も大人の会話に向いた。


「ゆう君がどうしたの?」


ママがたずねた。
ゆう君になにかあったの?
耳を大きくして、ともちゃんの方を見る。



「・・・悠理が急に進路を変えたいって言いだしたんです。・・・前までは、大学を出たら知成さんの会社に入りたいから、情報系の学科を希望していたんですけど・・・私の妊娠を聞いたら急に、本当は医者になりたいって言い出して・・・。」



答えた望さんは、困った顔をした。

「お医者さん?」

ママが聞いた、お医者さんって、ゆう君がなりたいの?
わからない言葉もいっぱいだし、お話が早くてよくわからないよ。




「そうなんだ。・・・強要していたつもりは無かったんだけど、俺の会社を継げつように頑張るって言ってたから・・・。でも、2人の子供がいるなら、その子に継がせれば良い、その方が良い、と言い出して。俺はどっちでも良いと思っているんだ。今いる会社のヤツでも良いとさえ思っている。・・・そんな事、考えなくてもいいのに、あいつなりにいろいろ俺達に気を使っていたんだと思うと、俺の会社に入りたいって言われた時に嬉しそうにした自分が、なんだか悠理に申し訳ない。俺は、悠理が本当になりたいなら、医者でもなんでも応援したいと思っている。」




ともちゃんが、少し悲しそうでまじめな顔をしている。
望さんは下を向いてしまった。
きっと、ゆう君の大切な話をしているんだと思った。





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