極上恋愛～エリート御曹司は狙った獲物を逃がさない～

だが、彼女は電話に出ない。

少し時間をおいてまたかけたが呼び出し音が虚しく鳴り響くだけ。

仕方なくラインにメッセージを送るも既読にすらならない。

これは彼女に避けられてると思った。

片桐が話す前に言っておけば……と後悔せずにはいられない。

だが、まずは俺自身のことを彼女に知ってもらいたかった。

TAKANOでだって前園製薬の御曹司としてではなく、ただの前園健斗としてずっと働いてきた。

コネは使わず、実力で勝負してきたんだ。

それに、柚月と心が通じ合ったのは最近のことだし、もう少し彼女の信頼を得てからと思っていた。

「柚月に距離を置かれたくなかったんだよな。俺ってヘタレなのかも」

ハハッと自嘲する。

今まであいつの俺に対する偏見は酷かった。

俺の気持ちを認めてもらうのも結構大変で。