年下御曹司は初恋の君を離さない

 悪女の始末は……着実に、確実に。
 タクシーに乗り込みスマホのディスプレイを見て、スケジュールを確認する。

「ここで仕掛ける……かな」

 来週頭にマスコミに向けての新作発表の場が予定されている。
 有名なお茶屋さんに無理をいって使わせてもらった抹茶を使ったチョコレートだ。

 恐らく、そのお茶屋の主人と畠山家は繋がっているだろう。
 そのお茶屋の抹茶は、茶道家たちがこよなく愛しているからだ。

 なので、そのプレスリリースの場に彼女がいてもなんらおかしくはないだろう。
 畠山に招待状を出せば、彼女は必ず訪れるはずだ。きっと、畠山みのりが婚約者面してくることが目に見える。
 俺が餌を蒔けば、彼女も何かしらの策を練ってくる。
< 288 / 346 >

この作品をシェア

pagetop