【冴えない貴方は御曹司!?】番外編も完結しました!
「朝ごはんのススメ」

控えめ女子のお弁当

満員電車が苦手。
朝のごった返すロッカールームが苦手。
美味しい匂いの立ちこめる、お昼時の混み合う社食がとても苦手。
ぎゅうぎゅう寿司詰めのエレベーターが苦手。
噂話に盛り上がる、キラキラ女子が少し苦手。
母の作るカレーライスの、ゴロゴロ大きいジャガイモが苦手。
美味しいお店のシュークリームは好きだけど、行列に並ぶのは少し苦手。


私、苦手なモノがいっぱいあるのです。

鏡 友梨香(カガミユリカ)23歳

この会社に入社して1年が過ぎたところですが、未だ分からないことも多く、まだまだ先輩からは新人扱いされています。

私が入社した時、半年間指導役を務めてくれたのが、今隣の席で朝寝?!している5年先輩の、逢坂 祐輔(オオサカユウスケ)さん28歳です。

それ以来ずっと同じグループで働く同僚なのですが、如何せん、とても仕事には厳しい先輩で、他部署に配属された私の同期の子などは、大きくて怖くて近寄れないからと、私が仕事の橋渡し役をやらされたりすることもしばしば。

でも逢坂さんはとても頼れる先輩で、私の体調が優れなかった時にも気付いてくれる、そんな男性(ひと)です。

逢坂さんも早く出勤して来るので、ある時ひょんなことから、朝食はどうしているのかと尋ねたことがあったのですが、

『ああ、朝はコーヒーだけだな…』

などと、怠そうに言いました。

『それはダメですよ。コーヒーだけで、そのくまさんみたいに大きな身体が、お昼まで保つわけありませんよ』

余計なお世話だとは思ったのですが、先輩のために、サンドイッチかおにぎりを作ってきますと提案したら、

『おう、頼むわ』

明日からは、私の分と逢坂さんの分の二人分作ってくることになったのです。
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