シ者-nagisa-

だからと言って、彼女に
近付きたいとも思わないし
話したいとも思わなかった。

だって、知ってるから。
彼女のような人の目には
僕なんて映らない事を。

目の当たりにすると恐ろしいほどに
美しくて、目の前に座る自分が
ひどく惨めで思わず目を逸らす。

僕は彼女の事を一度も見ないまま
急いで食事を済ませ
隣で笑い合っている至ともう1人の
女の人の事ばかり見ていた。
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