シ者-nagisa-

なんとなく飲みたい気分の彼女の前に
たまたま僕がいただけで、その言葉に
大した意味はないのかもしれない。

それなのに、彼女の言葉を
気にする自分が恥ずかしくて
俯き、目をギュッと閉じる。

僕は昔から見たくない現実を
目の当たりにすると
目を閉じるクセがある。

目を閉じれば会えるから。
この世界で唯一、僕の事を
愛してくれた母親に。
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